都への帰還 「氷艶2019 月光りのごとく」第二幕 その3

松浦の自己犠牲の後、源氏の吹く笛の音に陰陽師の悪のパワーも減退し、織田君の陰陽師は「ぼぇぇぇえぇ」というジャイアンリサイタルを思わせる断末魔とともに退場。松浦の亡骸に「おまえのおかげだ」と涙ながらに語りかける源氏と、亡骸を抱きしめて「松浦さまー」と号泣する咲風の姿がさらなる涙を誘います。
ここで佳菜ちゃんの咲風について。咲風の松浦への想いは「海賊の長(おさ)」あるいは「姉」というよりよりもっと深い「恋」であることはそれまでも明らかでした。松浦の源氏への密かな恋心にいち早く気づいた咲風は、「男として生きてください」と訴えて「女性」としての松浦を否定しようとしていました。しかし松浦が恋する源氏のために女としての死を選んだのに殉ずるように咲風もまた自己犠牲の道を選ぶことになりますが、それはもう少し後のシーンで…

民衆の大歓迎を受けて都に戻った源氏たち一行の前に立ちはだかったのは、長道。烏天狗みたいなお面をつけて優雅に舞を舞ったりします。長道の口から、これからは兄弟二人で国を治めようという朱雀の提案を告げ、源氏はそれを受けます。しかしこれはもちろん長道と弘徽殿の策略で、祝杯の源氏の杯に毒を入れようという二人の計画を、紫の上は立ち聞きしていました。
朱雀帝、弘徽殿の女御、朧月夜が雛壇に居並ぶ中、久々に兄と顔を合わせた源氏は「兄上、ご本心を!」と訴え、兄弟のテーマを歌います。テレビの特番の稽古の場面で、トレーナーさんからこのナンバーの指導を受ける大ちゃんの様子が窺えましたが、この曲音程とるのが難しそうでしたよね。本番でも音程がやや不安定なところもありましたが、大ちゃんソロナンバーを頑張ってこなしました。
しかし黙ってそれを聞かされていたステファンちょっと気の毒なような…本当は自分も歌いたかったのではw いかに表現力に秀でたステファンとはいえ、台詞のないのが不利になってしまう場面も時としてありましたからね…「私が決めた」とかいくつか朱雀の吹き替えを担当した大音智海さんはアンサンブルメンバーとして出演もされていましたが、今年の8月ライブストリーミングで視聴した「ジャージー・ボーイズ・イン・コンサート」にやはりアンサンブルで参加していて、カーテンコールで披露した素晴らしいファルセット・ヴォイスを聴いて、この方今後注目しようと思いました。

複雑な思いを抱えながらも、毒入りの祝杯を源氏が口にしようとした瞬間、紫の上が飛び出してきて杯を奪い、一気に飲み干します。
…松浦に続く源氏を愛する女性の自己犠牲ですが、他にやり方はなかったのか?そして彼女はいつの間にか監禁を解かれていたのか?邪推と言われるかもしれませんが、もしかしたら紫の上は朱雀帝の後宮に入れられてしまったのでは…?この自死は、源氏の命を救う為と同時に、紫の上の自己処罰でもあるのでは…?
そして「その1」でも取り上げたオペラ「イル・トロヴァトーレ」で、ヒロイン、レオノーラが自分に求愛する二人の男(兄と弟)の板挟みの苦悩の末に毒を煽って命を絶つ設定との類似をここでも見出すのです。


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