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zoom RSS シン・ゴジラ その3 この機を逃すな!

<<   作成日時 : 2016/09/24 01:57   >>

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ゴジラにより都心が壊滅状態となり、立川の広域防災基地に官邸機能は移動…私は初めて知ったのですが、これはリアル設定なのですね。有事の際の立川移動って。

核エネルギーを放出しつくしたゴジラは東京駅で休眠状態に…正直、都合のよい設定だなあとは思いましたが、まあそうするしか実質対策本部の責任者となった矢口たちが作戦練る時間が取れないしね。
ゴジラが進化を重ねてやがて有翼化、さらに個体増殖することを想定した国連は多国籍軍を結成、アメリカが熱核爆弾を東京駅に鎮座するゴジラに投下することを決める。このへんは84年『ゴジラ』に似ていると思うのですが、84年版は小林桂樹扮する総理が「アメリカとソ連に話したら分かってくれたよ」と核攻撃をあっさり阻止出来たところでは、私はズコーでしたよ。米ソがそんなに大甘な訳ないっしょって。84年版の「非核三原則」を貫く日本というポリシーは立派だったんですが。
その点『シン・ゴジラ』のアメリカはシビアで、どう考えてもこっちが現実的。そんな極限的な状況下、日米の狭間で葛藤する若き日系の大統領特使カヨコ・アン・パターソン(石原さとみ)、里見臨時総理(平泉成)を立てた官邸の苦悩、そしてなんとか東京への核攻撃の前にゴジラを駆逐すべく「矢口プラン」が展開する様子がスリリングに描写されます。
巨災対の牧・元教授が遺したゴジラ遺伝子情報の分析という謎解きの面白さ、矢口プラン−血液凝固剤を経口投与してゴジラを凍結させるというアイデアが果たして有効なのか?そして米国の核攻撃の猶予期間に製造が間に合うのか?こうして官民と自衛隊が一致団結して「ヤシオリ作戦」に邁進する展開、これはほんとうに手に汗握る面白さでした。ヤシオリって、ヤマタノオロチ退治の「八塩折之酒」なんですね。タバ作戦といい、こういうひねった作戦名をつけるものなのでしょうか。
それにしても、経口投与でゴジラ凍結って、またもや84年版思い出させられるのですが…あっちはカドミウム爆弾でゴジラ眠らせてましたね。ゴジラは新宿高層ビルに寄っかかってぐーぐー寝ちゃって、今思うとシン・ゴジラに比べると可愛いもんでしたね…。
最低限の血液凝固剤製造のためにはもう少しの時間が必要…核攻撃を一日延期させるために、それまでぱっとしない事なかれ主義者に見えていた里見臨時総理が献身していた姿…ここ感動的でした。なんだろう総理以下臨時閣僚達がフランス大使に無言で頭を下げていた姿を見ると、あー日本的だなーと苦笑したくなる気持ちがある一方で、ものすごく胸がいっぱいになって、ああ自分は日本人なんだなと実感しました。昭和版『日本のいちばん長い日』の『御前会議で、陛下がポツダム宣言を受託するご御聖断を下した時に、閣僚たちが皆すすり泣き、中には土下座する者もいたのを見た時と同じ気持ちでした。

そしていよいよヤシオリ作戦本番。科学技術館の屋上で、矢口が自衛隊員に檄を飛ばすところ、これ『七人の侍』の志村喬扮するリーダー勘兵衛を思い出しましたよ。決戦前の「勝負はこの一撃で決まる!」っていうの。
あまりにも名高い伊福部昭の旧ゴジラ音楽はそれまでも何個所かで使われていましたが、ここで最大の見せ場、聴かせどころが!「宇宙大戦争」のメロディが鳴り響いた途端に、なんというか昭和の「空想科学映画」のスイッチが入ったというか、ここから一種のトランス状態に入った観客は多かったのでは内でしょうか。「無人新幹線爆弾投入!」「この機を逃すな!無人在来線爆弾全車投入!」活動休止状態でも、危機を察知すると背びれからビーム出して撃退するゴジラの、文字通り足下をすくう作戦…というより何より、よくぞこんなに稚気溢れて、見る人すべてを元気にする兵器思いつきましたよねえ。You tubeでゴジラ・ファンのアメリカ人のお兄さんが『シン・ゴジラ』のネタバレ動画をレビューするのを見ましたが、無地在来線爆弾がゴジラに激突するキャプチャー見て"What's this?"と言ってたのが可笑しかったです。
ヤシオリ作戦の手に汗握る面白さについては、私がこれ以上くどくど述べる必要なし、百聞は一見にしかずですが、ひとつだけ。痛々しい咆哮(ちゃんと伊福部先生と東宝の音声スタッフが62年前に作成した咆哮を引き継ぐ伝統を守っていました)を上げて倒れ、一度は立ち上がっても凍結するゴジラが痛々しくて、ほんの一瞬可哀相に思ってしまいました…そう思って胃はいけないとは分かってはいても。

清々しく危機回避したとはいえ、都心に凍結したままのゴジラが屹立したままで東京の復興はどうなるのか?もしゴジラが活動再開したら?そして何よりあの尻尾!アレらはもう死んでいるのでしょうか?
余韻を残したラストシーンに、あの旧ゴジラのテーマが流れ、さらに「三大怪獣」「怪獣大戦争」「メカゴジラ出撃」とさながら伊福部名曲集のエンディング・タイトルでした。モノラルのオリジナル録音を使用していますが、サントラ盤では結局本編では採用されなかった再録が収録されています。このサントラ盤聴くと、鷲巣さんと伊福部さんの新旧の音楽のバランスが絶妙だとあらためて思わされます。
庵野監督の好きな曲並べたのでしょうか。ここで一気に流しちゃったら、これから後に作られるであろう新(シン)シリーズはどうするのよ!という感じですね。

【100分間耐久】平成メカゴジラのテーマ【Theme From Mecha-Godzilla】


「100分間耐久」ものなので、視聴は適当なところで切り上げて下さい。これが80才近い老人によって書かれたとは信じられない重厚で力強い音楽です。





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シン・ゴジラ
2016年/日本 (監)庵野秀明 樋口真嗣 (演)長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 高良健吾 松尾諭 市川実日子 大杉漣 柄本明 余貴美子 國村準 平泉成 塚本晋也 光石研 古田新太 松尾スズキ 鶴見辰吾 ピエール瀧 片桐はいり 小出恵介 前田敦子 手塚とおる 嶋田久作 ☆☆☆★★★ ...続きを見る
ごみつ通信
2016/09/25 00:46

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!

お待ちしておりました!
これだけ熱い映画の記事を読ませていただいたのははじめてかも!?物凄く楽しく読ませていただきました。
気がつかなかったところもたくさん指摘されてて、勉強にもなりましたよ。
何とかもう1回くらい劇場に見に行きたいんだけどな〜。

今回3部構成で、ストーリーを追いながら細かく解説して下さってて、私も映画のシーンを思い起こしながらうなずく事しきりでした。

やっぱりこの映画は、「ゴジラ」というレジェンダリーな作品へのリスペクトと、相当なマニアじゃないと気がつかない位のオマージュやネタに溢れている事からくる作品としての密度が、観客の心に迫ってくるんだろうと思います。

あと、もう一つは震災とその後の混乱を経験した日本人としての共有感覚。
ここまで緻密にリアルには描かれる事のなかった、行政サイドの対応のシーンの緊張感も、アクションシーンではないからこそ逆に新鮮でもありましたよね。

今回の記事で書かれている、ヤシオリがはじまってからの、「一体どうしたんだ」なケレンミたっぷりのシーンも素晴らしい。

ゴジラ、凍ったままうちの職場の近くに(笑)オブジェとなっているワケですが、これは続編つくられるのかしらね〜?

長くなっちゃうので細かくは今度お会いした時にでも!と思うのですが最後に、「平成メカゴジラ」のテーマ動画、本当に有難うございます。あ〜、良いですね、やっぱり。

私、引っ越しの時にせっかく集めたディアゴ「東宝ゴジラシリーズ」処分してきちゃったの心から後悔しております。(涙)

「シン・ゴジラ」、あらためて凄い映画だな〜と思いました。

夏さん、素敵な記事を有難うございます。
ごみつ
2016/09/25 00:42
ごみつさん、こんばんは!
コメントとTBありがとうございます。

そうですか。そんなに熱いですか確かに新作の時にこんなにリピしたのは、「アマデウス」と「ニューシネマパラダイス」以来…って我ながら古(笑)
そうですね、きっとこういう日本映画の出現を待っていたのでしょうね私は。CGや特撮はもちろんのこと、脚本がとてもよく書けている。やっぱり肝はここですかね。

「シン・ゴジラ」はオタク受けと同時に、普遍性があるのがすごいと思います。思えば「ニューシネマパライス」も、映画オタクの撮った作品なのに、日本の庶民までも泣かせましたものね。普遍性を手に入れたオタク最強説!
そもそもゴジラという「古い」素材を使って、3.11を経験した今の日本人に訴える「新しい」映画を作った、もうこれだけで偉業かな、と。

ゴジラは丸の内側で凍結してますが、八重洲側から見るとあまり近すぎずちょうどよい眺めかと(笑)尾頭さんが「東京の除染に希望が持てる」と言ってたから、ランドマークになったりして…というのは冗談で、ゴジラが再び目を覚ましたら核攻撃のカウントダウンがまた始まるらしいから、あんまり笑い事に出来ないですよね…尻尾のアレといい、続編出来る展開ですね。庵野監督再登板あるかどうかは分かりませんが…

ディアゴの東宝シリーズまた出てますよね?前とまったく同じラインアップではないのでしょうが…私はとりあえずシンゴジのブルーレイ待ちです!
次にお目に掛かるときに喋り倒しましょうね〜

2016/09/27 00:06

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