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zoom RSS ウディ・アレン 「教授のおかしな妄想殺人」

<<   作成日時 : 2016/06/09 16:47   >>

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先週の金曜日の晩ですが、今週末6/11公開のウディ・アレン監督の新作の試写会に行ってきました…いつも試写会のご相伴にあずかってばかりで、ほんとうに感謝しております。

『教授のおかしな妄想殺人』 "Irrational Man"(ウディ・アレン監督 2015年)
(上記公式サイトにアクセスすると、トレイラーの音声が流れます。)

少し前の当ブログで、有名監督でも晩年に現場に立つ機会に恵まれる人は少ない、クリント・イーストウッドは別格と書きましたが、現在のアメリカ映画でもう一人コンスタントに作品を新作を撮り続けている大物監督忘れていました…しかし、ウディ・アレン80才になったんですねえ。私がヴェネツィアのサン・サルーテ教会で『世界中がアイラブユー』の撮影をしているアレンを見かけたのはもう21年前か…。
前作『マジック・イン・ムーンライト』を見たのが2015年5月だから、きっかり1年で次の作品ですね。
まず最初に言いたいこと…邦題酷すぎませんかぁ?原題を直訳すると、「不合理な男」とか「無分別な男」ですかね。そのままでいけとは言いませんが、これじゃ『ウディ・アレンの泥棒野郎』より酷い邦題では。そもそも殺人は「妄想」じゃなかったし。

舞台はアメリカ東部のある大学の哲学部ー学生の台詞にあったとおり、IT関連の学部と違って昔ながらの学問の殿堂の趣の落ち着いたキャンバス−に、エイブ・ルーカス(ホアキン・フェニックス)が教授として赴任してくる。知的且つミステリアスでセクシーな中年の教授に同僚や女子学生たちは色めき立ち、中でも教授の講義を受講始めたジル(エマ・ストーン)は積極的にアプローチ。
エマ・ストーンは『マジック・イン・ムーンライト』に続いてアレン作品登板で、監督のお気に入りのようですね。ナチュラルメークでもとてもきれいだし、知的な大学生にして世間知らずのお嬢さんにリアリティもたせる演技力も十分で、お気に入りなのもうなずけます。ホアキン・フェニックスはじめ他の俳優も演技巧者がそろっていて、こういうインテリ階層のスノッブな雰囲気に嘘くささ感じさせないのは、演技力ある俳優が必須でしょう。

映画の前半では、エイブは哲学的概念にがんじがらめになっている故か、人生に退屈になっただけなのか、生きる目的を失っていて、えらく虚無的になっている。インテリでないこちらから見ると、単にかっこつけているだけにも見えますが(笑)、そんなニヒルなところがジルや不倫願望の同僚女性の気をさらに引いたようです−それもこれも「イケメン」でないと成り立たないのですが。
このあたりまで見て、これコメディというより、昔私が映画館で寝ちゃった(私は劇場で寝たことは片手でかぞえるほどしかないから、忘れてません)『セプテンバー』みたいな(悪い意味で)スノッブ臭ふんぷんのウディ・アレンのシリアス作品なのかな?と脱落しかけたら、後半から立派なブラック・コメディになって持ち直しました!
『マジック・イン・ムーンライト』は上質なロマンチック・コメディでしたが、正直時代遅れ感も免れなかった。でも『教授』後半の毒っ気見ると、ウディ・アレンの感性健在ですね。
教授が生きる喜びを取り戻すのは、ジルと一緒にダイナーにいた時に偶然耳にした隣の席にいた女性の話…彼女は悪徳判事に子どもの親権を取り上げられそうになっていた。買収されて多くの人を苦しめて居るというその判事を、この世から抹殺することをエイブは思いつく。
こうして完全犯罪の計画を練り始めたエイブは生きる喜びを発見して俄然元気になる。脳内の概念の言わば奴隷になっていたインテリが、「実行」することに生きがいを見出しちゃったんですね。それも一方通行の正義感を伴った犯罪です。
一転して生命力溢れたエイブとジルの間に恋の炎も燃え上がりますが、それと並行しての「完全犯罪」は…?ネタバレになるといけないので、ここまでにしておきます。

見ていてどん引きしたのは、彫りの深いラテンっぽいイケメンなのに、ホアキン・フェニクスのボコッと出たお腹でしたが、この役のために15kg増量した結果だったそうで…しかし、今さらですが、リバー・フェニックスと似てない…ほんとうに両親同じ兄弟なのか勘ぐりたくなりますが、リバーの生前仲の良い兄弟みたいだったから、他人があれこれ詮索しちゃいかんよね。ほんとネタバレいかんのだけど、哲学売りのインテリ男がどいつのまにかゲスになっていく演技巧いこと。

ジャズ好きのウディ・アレンらしくバックに使ったジャズがすごくいい感じ。(行ったことないけど)いかにもニューヨークって雰囲気ですね。
The "In" Crowd ~ Ramsey Lewis Trio


あと我ながら、アナログかデジタルかしょっちゅう気にしていますが(苦笑)、この作品今時貴重な32mmフィルム撮影のような気がします。



Irrational Man
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「教授のおかしな妄想殺人」
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