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help リーダーに追加 RSS ヒッチコック 「北北西に進路を取れ」

<<   作成日時 : 2008/08/27 17:18   >>

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『北北西に進路をとれ』 North by Northwest(1959年 アルフレッド・ヒッチコック監督)

BSで久しぶりに見ました。2時間20分が全然長く感じられない!映画的文体−語り口、カメラワーク、音楽、すべてが完璧です。真の映画芸術であると同時に、大衆を楽しませ喜ばせる超一級の娯楽映画。まさにヒッチの前にヒッチなし、ヒッチの後にヒッチなし、です。
でも、よくよく考えると、プロット穴だらけなんですよねー。まず、敵方のスパイたちがマヌケだという前提がないと成り立たない−というか、彼らが賢かったら、あんなに簡単にケーリー・グラントを敵の工作員だと勘違いしないでしょう−つまり敵がマヌケでいてくれたから、話しが始まったわけなんですね。
本棚から『ヒッチコック トリフォー 映画術』(晶文社)を引っ張り出して、『北北西』の部分を読んだら、聞き手のフランソワ・トリフォーとヒッチコック本人がしっかり語ってくれています。
トリフォー「すべてが見事に計画されたデタラメとでも言ったらよいでしょうか。不条理(ばかばかしさ)にもとづく荒唐無稽な遊び(ファンタジー)こそあなたの映画作りの処方箋です。」

ヒッチコック「その不条理(ばかばかしさ)とわたしは真剣に、厳粛に遊んでいるというわけだ!」

ここまで明確に言い切って下さられていては、もはや私がダラダラと感想述べる必要もないと思うのですが、思ったこといくつか書かせて下さいね。

冒頭のタイトルバックが、二十世紀のアメリカン・デザインの粋の極、かっこいい!アートに明るいわけでない私の母までが横で見ていて、「このタイトル面白い」と言っていました。タイトルデザインのソウル・バスは、数々の世界の一流企業(その中には日本の「紀文」「コーセー化粧品」なども)の企業ロゴ手がけたグラフィック・デザイナーで、ヒッチコックの『北北西』『めまい』『サイコ』の他、映画タイトルのデザインの傑作も多く残しているそうです。
そのタイトルに続いて、一介の広告マンだったケーリー・グラントがあれよあれよという間に、国際スパイ犯罪に巻き込まれ、ニューヨーク(国連ビル、セントラル・ステーションなどが効果的に登場する)→長距離夜行列車→シカゴ→ラシュモア山と息つくまもなく、荒唐無稽かつどうしようもなく面白いお話がぽんぽんと進んでいきます。
ケーリー・グラントは、もうかなりのおじさまに見えますが、アクションばりばりこなし、それでいて男のエレガンスはいささかも崩さない。彼は台詞が多ければ多いほど、お洒落で巧い役者です−もちろん、この映画もしかり。
グラントが逃亡中の列車内で出会う謎の美女を演じたエヴァ・マリー・セイントに関しては、次のようなエピソードを読んだことがあります。それまでは、どちらかといえば野暮ったい「新劇女優」だった彼女が、ヒッチコックの衣装・メーク・演技指導により、目の覚めるように洗練されたブロンド美人に生まれ変わった、と…。
先ほどは、「マヌケ」を連発してしまいましたが、悪役のジェームズ・メーソンの渋い男っぷりもいいですねえ。彼が真剣にエヴァ・マリー・セイントを愛してしまっていたらしいのが、悪役ながら切ないです。その部下役は、若き日のマーティン・ランドー。豪華。

最後のオチ?というか、あの飛躍した?ラストシーンは、何時見ても不思議な終わり方…と思うのは、私だけでしょうか。最初にこの映画を見た時は、あれは一種の「夢オチ」で、今までのお話はすべてなかったことに〜かとも思ったのですが、今回見たら、やっぱり事件がすべてが解決して、ああいうハッピーエンドに進展したのかと思えてきました。どちらにしても、粋で心憎い結末です。こういう「落とし方」させるのは、ハリウッドではヒッチコックとビリー・ワイルダーくらいだったかも…二人ともヨーロッパ生まれ(ヒッチ=イギリス、ワイルダー=ウィーン)なんですね。
最後に忘れてならないのは、バーナード・ハーマンの音楽の素晴らしさ。こうも何もかもが洗練されていては、かないません。

北北西に進路を取れ 特別版
ワーナー・ホーム・ビデオ
2008-04-11

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こちらには、お久しぶりです。
私もこの映画を見ました。
ラストシーン、なつさんも「?」でした?
私も、一瞬「夢ってこと?」と思いましたが、やっぱりハッピーエンドなんでしょうね。

メーソンが亡くなった祖父に似ていて、母と盛り上がりました(笑)
娑羅
2008/08/28 00:34
娑羅さん、お久しぶりです。

私はこの映画を初めて見たのは吹き替えで、エヴァ・マリー・セイントの最後の台詞が「あなたっておかしな人ね」だったと思います。
それで、夫が新婚の妻に面白おかしく作り話を…なのかなあ、と思ったのです。
でも、今回見たら、やっぱりラシュモア山から一気に時間が飛んだのだろうという印象でした。

ジェームズ・メーソン似とは、素敵なお祖父様だったのですね!
なつ
2008/08/28 16:58
なつさん、こんばんは!通してきちんと見たことなかったので(飛行機に追いかけられるシーンは知ってましたが)BS放映はタイムリーでした。
ついこの間、和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」を読んでてたまたまソウル・バスのタイトルバックの話が出ていたのもいいタイミングでした。
(あのデザインかっこいいですよね〜)

ラストは思い切り外してきましたね。
ほんとに人の悪いおじさまだこと(笑)ヒッチコックのニヤリ顔が目に浮かぶようです。
プロが本気で遊んでいる、観客を驚かせようとしてるところが心地よかったです。
オグリ
2008/08/29 00:14
>オグリさん、こんにちは!
よくよく考えると、あの飛行機での襲撃、スパイ側はあんな手の込んだやり方をしないで、もっとシンプルに抹殺を図ればよかったのにと思うのですが、それはヒッチコックの「不条理(ばかばかしさ)とわたしは真剣に、厳粛に遊んでいるというわけだ!」で、すべて解決ですね ^^)
初めて見た時、通りすがりのおじさんの「おかしいな、あんなところで農薬を撒いている…」という台詞が飛行機襲撃につながったので、吃驚!でした。

>和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」
あの名著にも載っているんですね!「ソウル・バス」という名前、以前から聞き覚えはあったのですが(たぶん和田さんか誰かの映画の本で)、検索し見てみたら、超有名なグラフィックデザイナーだとわかりました。

>プロが本気で遊んでいる、観客を驚かせようとしてるところが心地よかったです。
外されながらも、爽快感があるのは、名人芸ゆえですね。
なつ
2008/08/29 13:18

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