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zoom RSS 悪の華、官能の渦 氷艶2017 破沙羅

<<   作成日時 : 2017/06/12 00:28   >>

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氷艶2017 破沙羅

第二幕は、悪サイドの勝利の宴から始まります。王と王妃のような弾正と岩長姫を中心に、男女のスケーターが酒池肉林風味に暗く妖しいパーティを繰り広げます。歌舞伎界からは悪役四天王の蘇我入鹿、石川五右衛門、酒呑童子、地獄太夫がお立ち台のうえで舞を披露してくれるという歌舞伎サイドからの大サービスありです。
悪の四天王は、お立ち台だけでなく、氷の上でもスパイクで縦横無尽でしたが、これはこの公演のために開発されたスパイクのようですね。なぜか二人ともタコをまとっている弾正の子分の奴江戸兵衛(沢村宗之助)と佐渡鬼坊(大谷廣太郎)、それから善側の弁慶(書き忘れていましたが、猿田彦は地上では弁慶になって義経に仕えています)は、スパイクとスケート併用。

そこへ仮面をかぶった男装の遊び女が現れ、乞われるままにお立ち台で舞い始めます…仮面(和製ファントム風)を被っていても、体形で大ちゃんだーと一目で分かりました(ちなみに初日の阿国の頭はポニテ、楽はお団子)。男である義経が男装の麗人に化けるというこみいった設定で、それは歌舞伎の始祖である「出雲の阿国」にほかなりません。
どんな踊りになるのかドキドキしながら見ていると、邦楽に合わせてなんかすごいスピードで舞い始めた!えっこれ何?何なの!?とぽかーんと見惚れているうちに終わってしまいましたが、これが最後に名前が追加されたダンス集団の東京ゲゲゲイによる振付だったんですね。大ちゃん自らヒップホップで踊りたいとゲゲゲイさんご指名だったとか。ちょうど10年前、ヒップホップスワンでスケート界を驚かせた大輔が、今度は陸でヒップホップ出雲の阿国を踊ってしまうなんて!この10年山あり谷ありを乗り越えて橋大輔を応援し続けてきたけれど、こんな斜め上の展開が待っていたなんて、夢にも思ってなかった…
初日はまだ手さぐりの面もあったと思いますが、楽の阿国ダンスの切れ味ときたら…。しかもステップワークを得意とする大輔がいわゆる「手踊り」で成果を上げてみせるとは、これも斜め上!ヒップホップでありながら、手の動きには「和」の要素が色濃く感じられ、これはゲゲゲイさんに加えて、尾上菊之丞さんの手も入っているとのこと。菊之丞さんは阿国登場の場面から、素晴らしい振付をして下さいました。

舞い終わると、弾正殿は、義経阿国の肩を抱きかかえ「今宵は抱いてやろうぞ」とすっかり鼻の下を伸ばしていましたが、あっさりと阿国の正体を見破り、あっけなく義経の潜入捜査は失敗に終わります…わざわざ女装までして、しっかり踊りまで踊ってみせたというのに、速攻でかえって窮地に陥る義経ちゃん…「いったい何がしたかったんや」と初演後ツイッターで呟いたら、ある方から「踊りたかったんじゃないでしょうか」とリプ頂き、私は思いっ切り納得しました!そうだそうだ、大ちゃんじゃなくて義経ちゃんは踊りたかったに違いない!

ここで岩長姫が義経殿と二人っきりにしてほしいと申し出て、弾正はまるで気を利かすように宴会の場を移します。初対面で意気投合して以来、二人はカップルになったように見えるのですが、このあたりお互いに寛容なんですね(笑)てか、岩長ちゃんって、ニニギの妃になるべく妹と登場するまでは、深窓の姫君だったと思うのですが、酒池肉林の宴会では平然としていたし、義経を堂々と寝室に連れ込むし、なんかすごい肉食系女子化しちゃったんですね。たぶん弾正殿との宙乗りキッスあたりから弾けたのでしょう。
ここから!我々の想像を遙かに超える、美と悪と官能でどっろどろの名場面が展開することになるのです!笑也さんの美声で語られる数々の名台詞…ああ日本人に生まれて日本語理解出来てよかった。到底、全部覚えきれていませんが
「その麗しい瞳…かぐわしい男の香り」
「その美しい顔が苦しみで歪むのが見てみたい」
「我が思うままに可愛がってやろう」
「わらわと契りを交わすのじゃ」

ひ、ひえーなんてストレートな…情欲の海がなんちゃらとか言ってたし…でも、この時会場中が岩長姫の魔力に支配されていまいたよね?おぞましい悪女のなのに、なんでこんなにシンパシーを感じてしまうのか?悪に染まりきっているはずの心の底に沈殿した彼女の悲しみまでが、なぜこんなに切々と分かってしまうのか?
岩長姫の言葉と手にした鏡(邇邇芸命から奪ったもの)の魔力で、義経は拷問にかけられたのごとくに苦悶します。言葉なしに、スケート靴もなしに、誘惑に抗う様を、表情としぐさで大輔が表現し切ったことに、私は驚嘆しました。あの変化に富んだ苦悶の表情、スクリーンの上で巨大化した岩長姫にずるずると引きずられていく義経の姿を私は一生忘れないでしょう。あの時氷上に悪と誘惑と官能が激しく渦巻いて、そこに引きずり込まれる寸前だったのは、義経だけでなく、私たちもそうだったのではないでしょうか。今でも岩長姫のほほほほほと笑う声が耳に残っています(なんとも官能的な笑い声だったの)。

ここで義経の思い人・静御前が敢然と恋人を悪の手から取り返すのですが(突如、筆者冷静になりますw)、ごめんねー私ぜーんぜん静御前が目に入ってなかったわ。でもまあ、平凡で善良な女性によって、ファム・ファタールの罠から救い出してもらうというのが一番の展開じゃないですか?男性にとって。正直なところ、義経ちゃんには、岩長ちゃんとどこまでも堕ちていってほしいところでしたが、それじゃ違う話になっちゃうしね(あくまで冷静)。
鈴木明子さんの静御前は、高級娼婦である白拍子としての静御前のイメージはまったくなく、勇ましく男性を守る恋人、たくましい女性でした。フィナーレの決戦での静御前の立ち回りのかっこよさ、こういうのが鈴木さんの本来の持ち味だったっけと思い出しました。

またもや一人取り残された岩長姫…なんと鬼の姿になってスクリーン裏から現れ、怒りのあまり氷上で「毛振り」まで披露して、悪役なのにやんやの喝采を受けてました。
…岩長ちゃんはニニギにふられた時は、弾正召喚はやらかしたけれど、鬼にまではならなかったのに。義経が彼女を鬼にしてしまった…皆さん仰っていることですが、とっくの昔に岩長ちゃんはニニギのことどうでもよくなってましたよね。そりゃそうだ。ワルでイケメンの弾正殿をボーイフレンドにして、麗しい義経殿をもう少しで手に入れるところだったのですもの。分かりますとも。


というわけで、収集つかないまま今日もフィナーレまで到達できませんでしたが、最後にこれだけ。昨年テレビ鑑賞した、フィギュアスケートと音楽だけで物語を語ったアイス・レジェンドの「ラ・バルス」にも驚かされましたが、「氷艶2017 破沙羅」はスケートのみでは到底描き得ない、悪と官能と幻想の世界にまで踏み込み、さらに私を驚かせてくれました。歌舞伎の力を借りるという異種コラボレーションにより、橋大輔に、フィギュアスケートに新たな可能性が提示されたその場に言わせて「歴史の生き証人」になれたことを、心から幸せなことだと思っています。

次でやっとフィナーレに行くよーLOTFまでに書き終えたいですー


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