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zoom RSS バリー・ジェンキンス監督 「ムーンライト」

<<   作成日時 : 2017/05/12 00:28   >>

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『ムーンライト』 ”Moonlight”(バリー・ジェンキンス監督)
上記公式サイトにアクセスすると、予告編の音声が 流れます。

第74回アカデミー賞の作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞した『ムーンライト』を劇場で鑑賞しました。
アカデミー賞授賞式でのゴタゴタはともかくとして(作品賞発表の際、誤った封筒がプレゼンテーターに渡され、『ラ・ラ・ランド』の関係者が受賞のスピーチを述べている最中に、真の受賞は『ムーンライト』と訂正され、舞台上がカオス状態に)、前年にスパイク・リーらが「黒人のノミネートが少ない!」と文句をつけたことへのアカデミー会員のお返事としての『ムーンライト』の受賞かな?と疑っていました。正直なところ。
ところが、実際に作品を見て、これはフロックなし、まさしく作品賞受賞にふさわしい名作だと思い知らされました。
物語は、一人の黒人少年シャロンの
子ども時代 : リトル
少年時代 :シャロン
青年時代 :ブラック

と3部に別れていて、当然のことながら各々の時代のシャロン役の俳優は代わります。



「リトル」

マイアミに母親(ナオミ・ハリス)と二人暮らしのシャロンは「リトル」というあだ名のひ弱ないじめられっ子(アレックス・ヒバート)。ジャンキーで時々アパートに男を引っ張り込む母親はあてにならず、救いは自分に優しくしてくれる麻薬売人のファン(助演男優賞受賞のマハーシャラ・アリ)とその恋人テレサ(ジャネール・モネイ)、そしてクラスメートで唯一親しいケヴィンだけ。ファンは「おまえの人生を他人に決めさせるな」と、シャロンに人生についての心構えを教えるなど、兄のような存在になってくれた(父親の代わりとも言えるかもしれない)。ファンがシャロンに泳ぎを教える水中撮影のシーンと、キューバにいた子ども時代に「月の光」を浴びた自分の黒い肌が青く光って見えたと言われた話を語るところが印象に残ります。
しかし母に麻薬を売るファンにシャロンは複雑な思いをも抱かざるを得ない…。


「シャロン」
十代になったシャロン(アシュトン・サンダース)だが相変わらず華奢で内気で、学校でいじめの対象になっている。母の薬物依存は進み、ファンは既に死んでいるが、テレサは今でもやさしくしてくれるし、ケヴィン(ジャレル・ジェローム)との友人関係も続いている。
…このくらいのネタバレはOKとして書いちゃいますが、シャロンとケヴィンって、映画版『ウォーター・ボーイズ』で、金子貴俊の早乙女と玉木宏の佐藤の関係そのまんまですね。「ずっと君を見ていた…見ていた…見ていた…」ってやつ。
しかしシャロンの思春期は、クラスのワルたちのいじめに無残に打ち砕かれる…


「ブラック」
あっと驚く成人後のシャロン。できる限りまっさらな状態で見たい方は以下を読まないで下さいね。いくらかのネタバレOKの方のみ↓スクロールして下さい。

















あんた誰?なマッチョな男(トレヴァンテ・ローズ)がまさかシャロンとはすぐには気がつきませんでした。忍耐の限界がきていじめレゲエ野郎を椅子で打ちのめしたシャロンは、少年院で鍛え抜かれ今は、麻薬の売人「ブラック」になっていた…亡きファンのように。あの繊細だったシャロンが身を守り生き抜くために、肉体改造していたとは…すみません。嫌なこと書きますが、シャロンみたいなタイプがアメリカの刑務所の類いに入ったら、『ショーシャンクの空』のティム・ロビンスみたいな目に遭うと思うのですが、なんかとにかく彼はサバイヴしたんですね。
しかし筋肉と金歯と金のネックレスでマッチョの鎧を着たその下には、リトルの頃から変わらない繊細なシャロンのままだというのがやがて分かります。
「ブラック」の変貌は最初こそ衝撃的でしたが、よく見ると3人のシャロンは顔立ちー特に切れ長の目が共通していて、自然に繋がっているんですね。
あとブラックの時代に初めてスマホが登場するので、リトルの時代は90年代かな?
アトランタで売人をしていたブラックことシャロンがマイアミに帰ることになるきっかけは、今は故郷で料理人となっているケヴィン(アンドレ・ホーランド)からの突然の電話だった。かつて自分を裏切った「初恋の人」とシャロンはどう対峙するのか?
これ以上は書かないようにしますね。
一緒に見た友人によると、ウォン・カーウァイの影響が濃く感じられ、またジェンキンス監督自身もそれは認めているそうです。私は、カーウァイ監督作品は随分前に「恋する惑星」しか見たことないのですが、興味深そうですね。カーウァイ監督作品も見てみようかしら。
「ムーンライト」は、アカデミー作品賞受賞も大納得の素晴らしい人間ドラマです。私は好きですね。お勧めできる作品です。



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ムーンライト
Moonlight 2016年/アメリカ (監)バリー・ジェンキンズ (演)トレヴァンテ・ローズ アンドレ・ホランド ジャネール・モネイ アシュトン・サンダーズ ジャハール・ジェローム アレックス・ヒバート ナオミ・ハリス マリーシャラ・アリ ☆☆☆★★★ ...続きを見る
ごみつ通信
2017/05/13 22:54
「ムーンライト」
地味だけど、良作。良作だけど、胸が苦しい。アカデミー賞作品賞受賞の本作、事前知識など何も持たずに観に行った。つまり私が本作について知っている事と言えばアカデミー賞作品賞受賞作品だという事のみであった。ストーリーも展開もテーマも、ここまで何も知らずに観に行った作品は久方ぶりである。「好きな俳優が出てるからー」とか「◯◯監督の作品だからー」とか「香港(イタリアでもフランスでも何でも当て嵌められる)映画だからー」とかそういうものも一切持たず、ある種の潔さを持って鑑賞。しかしそういった点では「アカデミー... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2017/05/14 09:57

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!

先日は楽しい時間を有難うございました。
またよろしくお願いいたします。

本作、さすがにアカデミー作品賞をとっただけあって、良い作品でしたね。
シャロンの心の痛みが伝わってきて苦しくなると同時に、救いのあるラストだったので、私もとっても優しい映画だな〜って思いました。

年代ごとの3部構成なのも良かったですね。母親がドラッグ中毒でなければシャロンの人生は大きく変わったんだろうな〜。彼はもともと繊細で優しい男の子だったから・・。

アカデミー賞、帰ってから早速見ました!面白かったです。
作品賞のドタバタは、知ってるだけに発表が近づくにつれドキドキしてしまいました。ララランドのスタッフが感謝のコメントをはじめてしまった時はやりきれなかったです。ウォーレン・ビーティーとフェイ・ダナウェイ、気の毒です。

マット・ディモンが最初から最後までいじられるの、大笑いしてしまいました。
全体的に楽しかったけど、素人の見学者をサプライズで会場に入れる企画は好きじゃないな〜。

また次回、Oさんもまじえて色々お話しましょうね〜。
ごみつ
2017/05/13 23:38
ごみつさん、こちらこそありがとうございました。楽しかったですねー

早速TBとコメントありがとうございます。私からのもよろしくお願いします。
アカデミー賞において、人種やセクシュアリティで「特別枠」を設ける必要はもうありませんね。まだ今年は半分も過ぎていませんが、「ムーンライト」が私の今年のbP映画になるかもれません。
ほんとうにこの映画は一人の繊細な少年を描ききってたと思います。アメリカは基本マッチョな国だからシャロンみたいに繊細な男性はたぶん生きにくいんだろうなあ…と想像してみたり。個人的には売人から足を洗ってほしいです!あの仕事についたのは彼の生き抜き這い上がる手段ではあったのだけど、亡きファンの後追いでもあるのでしょうね。

アカデミー賞、お会いした時にも話しましたが、司会者のジョークが割と分かりやすかったのは、ひとえにトランプのおかげかと(笑)かつてのジャック・ニコルソンはにこにこして元気にいじられていましたが、マット・デイモンはちゃんと不機嫌な演技していてこれはこれで面白かったですね。

>素人の見学者をサプライズで会場に入れる企画は好きじゃないな〜。
私もあそこは趣味悪いと思いました

また近いうちに今度は3人で!よろしくお願いします。

2017/05/14 00:38

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