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zoom RSS シン・ゴジラ その2 攻撃だけが華じゃない

<<   作成日時 : 2016/09/21 00:12   >>

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思いも寄らない「災厄」を目の前にして、日本はどうするか?というのが、この映画の最大のテーマ。映画は冒頭のアクアライン尻尾出現から、内閣がどのように対応するかを克明に追います。人間ドラマを国の中枢に視点をしぼったこのドラマ・パートも、極上の出来でした。最初のうちは「今ここで決めるのか?聞いてないぞ」なんて言っていた大河内総理(大杉漣)、「総理!ほんとうにやりますよ!」と迫る花森防衛大臣(余貴美子)、「総理ここは苦しいところですが、ご決断を」と促す官房長官(柄本明)、個性派ぞろいの俳優の演技合戦の面白いこと。
庵野監督は、岡本喜八・監督リスペクトだそうで(牧・元教授の顔写真として使われているのは、岡本監督!)、会議場面を初めとする内閣の葛藤は、昭和版の『日本のいちばん長い日』
の再現なのですね。私はちょうど8月にBSで『日本のいちばん長い日』を見たところなのもあり、すごく納得しました。
ドラマ・パートの主人公である若き内閣副官房長官・矢口蘭童(長谷川博己)は、この政治パートと、巨災対や自衛隊パートへの橋渡しする人物といってよいでしょう。
巨災対パートの俳優陣、台詞の面白さもまた格別。その中でも、環境省の女性職員でゴジラの生態を最初から最も把握していた尾頭ヒロミ(市川実日子)、彼女の名字って、これ一種のネタバレですよね?尾と頭…。
さらに矢口と同世代の政治家、マキャベリストの赤坂(竹野内豊)、野心の塊でありながら頼りがいのある男・泉(松尾諭)ら、まあ楽しいこと。泉ちゃんが
体斜めにして言う「出世は男の本懐。これに萌えずにどうする」とか、最高に好きな台詞。

戦後初の自衛隊出動までの総理のジレンマは、これはもう日本独特のテーマですね。最初の優柔不断さからいつしか決断力をつけた大河内総理「無期限の武器使用を許可します」となり、第四形態のゴジラを「多摩川を絶対防衛ライン」として丸子橋で迎え撃つ「タバ作戦」が展開…実は私の初見は二子玉川の109シネマだったので、「ちょっと!丸子橋って近いし!」って、吃驚。「タバ」というのは多摩川の古名だそうですが、地図見ると(先月、御岳山の宿坊に泊まりに行ったので奥多摩の地図買ってありました)、奥多摩に「大丹波(おおたば)」という地区があり、多摩川の水源の奥多摩湖の上流には「丹波(たば)川」もあるんですね。自衛隊の司令部が置かれたのは大田区の多摩浅間神社で、品川神社といい災厄の才に日本人の拠り所となるのは、やはり古来の神ということなのでしょう。
タバ作戦隊長のピエール瀧が、ゴジラの東京侵入を阻止出来ずに悔しがる部下に「気落ちは不要。攻撃だけが華じゃない。我々の任務は国民を守ることだ。住民の避難誘導を」と声掛けるのがかっこよかったー。

多摩川を突破し、破壊を重ねながらゴジラは都心に到達し、遂に政府は米軍に支援を要請。米軍が地中貫通型爆弾でゴジラを攻撃することになり、夜の東京都心に取り残された人びとは車を乗り捨て、地下鉄構内へ避難。地下の電気が切れ、暗闇に悲鳴が上がるところで、私まで恐怖で涙が出そうになりました。
…虚構とはいえ、東京が破壊される場面が美しいなんて、すごく不謹慎なのですが、このシークエンスは映像美といいカット割りといい素晴らしいものでした。攻撃で覚醒したゴジラが地獄の業火そのもののビームを吐き、都心が焼き尽くされ総理ら閣僚が乗ったヘリコプターが官邸を飛び立つ…。悲しみと絶望に彩られたこの場面で、鷲巣詩郎作曲の"Who will khow"ほどふさわしい音楽はなかったと確信しています。
それにしても、初めて初代ゴジラを見た時から感じていたことなのですが、日本人のこの自己破壊願望とも言える美学はいったい何なのでしょうね。それも近い過去に太平洋戦争や3.11を経験してからの製作。それは後の方に出てくる赤坂の台詞Scrap and builtで説明できるものなのかもしれませんが、なにか日本人の意識の底にある思想のように思えてなりません。

官邸機能が立川に移り、矢口らを中心に日本が絶望の灰の中から立ち上がる様相は以降のページで。
シン・ゴジラWalker
KADOKAWA/角川マガジンズ
2016-07-22

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シン・ゴジラ
2016年/日本 (監)庵野秀明 樋口真嗣 (演)長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 高良健吾 松尾諭 市川実日子 大杉漣 柄本明 余貴美子 國村準 平泉成 塚本晋也 光石研 古田新太 松尾スズキ 鶴見辰吾 ピエール瀧 片桐はいり 小出恵介 前田敦子 手塚とおる 嶋田久作 ☆☆☆★★★ ...続きを見る
ごみつ通信
2016/09/21 00:47

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