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zoom RSS 「シン・ゴジラ」 その1 「信じられません!まったく信じられません」

<<   作成日時 : 2016/09/20 00:26   >>

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『シン・ゴジラ』(総監督:庵野秀明、監督・特技監督:樋口真嗣)

まずは、日本が世界に誇る…とはいえ、この国では12年も製作が中断していた「ゴジラ」が見事に現在形で甦り、大ヒットめでたいかぎりです。私は庵野秀明監督のアニメ「エヴァンゲリオン」の知識はまったくないのですが、実写映画でこれだけの力作をものするとは、素晴らしい」才能であり映画への情熱ですね。もちろん樋口真嗣共同監督ほかのスタッフ、キャストの尽力、そして何よりも「〇〇製作実行委員会」ではない自社製作で老舗ブランドを復活させた東宝の底力を見た思いです。

まず、この『シン・ゴジラ』の軸となっているのは、「1954年にゴジラが日本を来襲」していない、つまり「ゴジラ」という名前をまったく知らない世界となっていること。庵野監督の言葉を借りれば「円谷英二のいなかった」世界だそうです。確かに劇中で一度も「怪獣」という言葉使われていませんよね?ゴジラは終始「巨大不明生物」呼びされていました。
その一方で、初代ゴジラ・リスペクトの精神にも溢れている作品でもあります。いきなりタイトルの「シン・ゴジラ」のカタカナ、明らかに初代のそれを踏襲したタイポグラフィー。ゴジラのしっぽ初登場時の(だいたいモンスター・ムービーは本体が登場するまで引っ張って引っ張って期待と恐怖を煽ることが多いと思うのですが、『シン・ゴジラ』は始まって3分くらいで東京湾に水蒸気が上がり海中トンネル崩落→しっぽがざばーん!)、テレビのアナウンサーの「信じられません!まったく信じられません!」も、上陸したゴジラが品川の八ツ山橋を破壊するのも、初代の踏襲ですね。その他にもたくさんありますが、私が気がついたのは「アメリカ、フランスを初めとする各国調査団が次々と成田空港に到着」というニュース報道。もちろん初代は「羽田」でしたが。

大きな違いは…ゴジラとの最終的な戦いが、初代では芹澤博士というひとりの天才科学者が自らの命と引き替えにした孤独なものだったのに対し、「シン」では人びとが力を合わせて「組織」の力でゴジラに挑んだことでしょう。若き政治家・矢口(長谷川博己)の指揮の下、普段は組織からはみ出し気味の「出世コースをはずれた者、一匹狼、おたく、学会の異端児」の集まりではあっても、巨大不明生物対策会議(略して巨災対)が協力し合って人知を尽くし、実行に当たっては自衛隊、民間企業が決死の作業に従事する「ヤシオリ作戦」。これが日本のあるべき姿だと胸を熱くして見た人が多いんじゃないでしょうか。

孤独な天才…という点では、物語の冒頭で自殺が暗示され写真でしか画面には登場しない「牧・元教授」が、芹澤博士に対応すると思うのですが、海底のゴジラを葬った芹澤と逆に、牧・元教授は「私は好きにした。君たちも好きにしろ」という謎の遺言を遺して、海底のゴジラに「何か」を施して上陸させたらしい…とこれは真逆です。でも、ふたりとも、ひとりの女性への(芹澤は想いの届かなくなった元婚約者への、牧は放射能関連で不慮の死を遂げたらしい妻への)想いを胸に、東京湾の底に消えたことは共通しています。

初代でも、生き延びていた恐竜が核実験でゴジラ化したという設定でしたが、「シン」でも恐竜が海底で核廃棄物を食べていた生き残りの恐竜がいて、牧・元教授がそれを利用して「完全生命体」としてのゴジラを完成させたらしいことは確かなのですが、いくら奥さんのことで日本という国に恨みがあるといっても、こんな甚大な被害をもたらす形で日本を「試す」って…。もしかしたら牧・元教授にもゴジラがここまでの災厄をもたらすモンスターに進化するとは想定外だったのかもしれませんが。
初代と同じくなぜか執拗に東京を目指すゴジラの意思(があるとして)に、牧・元教授の意思が投影されているのか、だとすると牧・教授は何らかの形でゴジラと一体化したのか(食べられたとか)?

これはもうバラしてもよいことだと思いますが、この「シン・ゴジラ」は第一形態→東京湾から呑川を遡って蒲田上陸の第二形態→品川でさらに進化して直立した第三形態→一度、東京湾に戻って、鎌倉から再上陸して東京に侵入の第四形態と、一世代の中で進化していきます。しかも水と空気さえあれば、何も食べなくてよいという(84年版のゴジラは、原発の炉心棒食べてましたが…)、これぞ完全生命体です。
国産ゴジラ初の完全CG化は、着ぐるみゴジラの獣くささがなくなって、最初見た時は躍動感がないなーと思いましたが、第二形態=通称「蒲田くん」最初に見た時は一瞬笑いそうになっちゃいましたよ。グロ可愛いというか(笑)蒲田くん、女性に大受けみたいですね。
あと第四形態の上半身の動きがないのが気になりましたが、中の人=モーション・キャプチャーが野村萬斎と知ったら、ああ!すり足なのか!と納得。都心で米軍の攻撃受けたら、ぶち切れて顎が割れて「ゴオオオオオオ」の前に振り向くところなんか、完全に能・狂言の仕草ですよね。
ゴジラの破壊シーンは、CG、ミニチュア特撮両方使っているそうですが、日本家屋が破壊されるのが印象に強く残りました。瓦屋根が震えて滑り落ちるところとか…。本田−円谷時代への見事なオマージュだと思いました。
今回、群衆処理とエキストラさんたちの熱演も特筆もの。こういう「逃げ惑う群衆」というのを見ると、ああ日本の特撮だな…と。特に印象深かったのは、品川神社に逃げ込んで、ゴジラに絶望の、眼差しを向ける人びとでした。『三大怪獣 地球最大の決戦』で、高台に避難してキングギドラに蹂躙される村を見て、「これで村もおしまいだ!」と泣き崩れる村人たちを思い出しました。まさにゴジラとは、日本人にとっての「災厄」の象徴なのだと…。


なんかアイスショーの感想並みに長くなってきたので、一度区切って、以下のページに続きます。





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シン・ゴジラ
2016年/日本 (監)庵野秀明 樋口真嗣 (演)長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 高良健吾 松尾諭 市川実日子 大杉漣 柄本明 余貴美子 國村準 平泉成 塚本晋也 光石研 古田新太 松尾スズキ 鶴見辰吾 ピエール瀧 片桐はいり 小出恵介 前田敦子 手塚とおる 嶋田久作 ☆☆☆★★★ ...続きを見る
ごみつ通信
2016/09/21 00:47

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