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help リーダーに追加 RSS 1992年 ウィーン国立歌劇場 「スペードの女王」

<<   作成日時 : 2009/01/05 00:00   >>

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今日のBS-hiでは音楽監督の小澤征爾が案内するウィーン国立歌劇場というような番組をずーっと流しています。その番組の中で、1992年同劇場で上演された小澤征爾指揮のチャイコフスキー『スペードの女王』全曲が放送され、鑑賞しました。
私が今まで(映像で)観た、或いは全局盤CDを聴いたことのあるロシア・オペラは『エフゲニー・オネーギン』のみ。同じチャイコフスキーの『スペードの女王』は、記念すべき(?)私のロシア・オペラ体験二作目となりました。

オネーギンよりはずっとストレートな激情家ではありますが、主人公の士官ゲルマン、オネーギン同様にあまり思い入れの出来るキャラクターではない。恋人リーザを得るためとはいえ、乱暴な手段で老伯爵夫人から賭けトランプ必勝のカードの秘密を聞き出そうとするのだから…。しかも、いつしかがリーザとの恋の成就よりも、カードの秘密を聞き出すことそのものが、彼の「目的」になってしまったかのような倒錯性すら感じられ、ぞっとさせられました。

そのゲルマンを歌ったウラディミール・アトラントフは、高音のよく伸びる強靱な声の持ち主で、ゲルマンの狂気をよく表現していたと思います。
ゲルマンと出会ったためにエレツキー公爵と婚約しても心晴れず、またゲルマンと愛し合うようになった後も常に猜疑心に苦しむリーザを歌ったミレッラ・フレーニ、素晴らしい!この頃、既に五十代半ばだったと思うのですが、その美声はいささかの翳りもみせず、また容姿も若々しかった。純真でいながら、屈折した乙女心という難しい役どころを、見事に歌い切っていました。
エレツキー公爵役の黒髪で美男子のバリトン、どこかで見たことある…もしかしたら、若い頃のウラディミール・チェルノフ?と思ったら、当たり!歌唱もこの頃から、しっかりしていました。しかも美声だった。脇役のポリーナ役で、若い若いヴェッセリーナ・カサロヴァも顔を見せていました。
そして、この上演一番のハイライトでだったのは、伯爵夫人を歌ったマルタ・メードルだったかもしれません。手元の「オペラ辞典」によると、マルタ・メードルは1912年生まれ、ワーグナー・ソプラノとして戦後活躍したというから、1992年当時には80才!さすがに声域はアルトになっていましたが、明瞭且つしっかりとした発声は到底老女のものとは信じられず、また過ぎ去った若き日の華やかな思い出に取り憑かれた女の業(ごう)を見事に表現していました。そして、ゲルマンの脅迫でショック死してしまってからの死に顔の凄まじさ!自らの老いと、華やかなプリマドンナの記憶とを、見事に「伯爵夫人」という役に昇華させたプロ根性には、頭が下がりました。

これら歌手の至芸を引き出しつつ、音楽をしっかりまとめた小澤征爾の手腕、さすがです。夫人のお父さんがロシア人だそうで(ということは、小澤征悦はクォーターってこと?)、ロシア語やロシア文化を徹底的に勉強して、このオペラに臨んだとのこと、その成果はしっかり実を結んだと思いました。
『オネーギン』『スペードの女王』と聴いてみて、ロシア的情念というものは、私にとってはかなり受け入れやすいもののようだと分かりました。
最後になりましたが、演出はオーソドックス。番組の中で、小沢氏は近年の時代設定をいじる演出は好まないと言っていましたし。但し「大きな声では言えないけど」と付け加えていましたが…いいから、大きな声で言っちゃって下さい!

それから、2007年に『スペードの女王』は新しいプロダクションになり、これも小沢氏が指揮したという話題も上がり、2008年10月の舞台の模様が少し流れました。ゲルマン役は、ニール・シコフ!シコフの最新映像を見られたのは、私にはとてもうれしい「おまけ」でした。それが、短い映像とはいえ、なんだか若返ったみたいに元気そうな様子だったんですよー2007年、国立歌劇場の総監督に担ぎ出されかけるという「権力争い」に巻き込まれて、一頃落ち込んでいたというようなニュースもありましたが、この直近の映像見るかぎり活き々々と舞台に上がっている様子。いちテノール歌手としてやる気を取り戻したのだったら、ファンとしてこんなにうれしいことはありません。
NHKさん、『スペードの女王』の新しいプロダクションの方も撮ってるのなら、そちらも放送お願いします!

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
かなり時差のあるコメントとなり恐縮です。お久しぶりです!その番組見たかったです・・・残念。シコフの「スペードの女王」はすごく観に行きたかったのですが、やはりウィーンは遠かった・・・です。国立歌劇場のサイトでちらっと映像を観た限りでは、いつものように入魂で演じていましたよね。「スペードの女王」は荒唐無稽なストーリーで、なかなか感情移入できませんが、シコフにはぴったりな役だろうなぁと思っていました。NHKさん、是非このプロダクションの放映よろしくお願いします!シコフの今後は気になるところですが、今年も活躍してくれそうで、期待できますね。
りぎあ
2009/01/12 20:17
すみません。私がウィーン国立歌劇場のサイトで見たと思っていたシコフの映像は「スペード」ではなく、「マノン・レスコー」だったような気がします。確認せずに書いてしまい申し訳ありませんでした。やはり、NHKの放送か、DVD販売を切に希望します。
りぎあ
2009/01/12 20:37
>りぎあさん、おひさしぶりです!
テレビに映ったのは、賭トランプをする酒場の場面ぽかったです。設定は現代に置き換えで、カラフルな舞台でした。
小澤指揮ということで、日本での放送(or DVD化)の可能性があるといいですねえ。
ゲルマンの暗い情念というか妄執は、シコフの声・キャラに合っていると思うので、ぜひ観たいです。

公式のカレンダー見ると、もうすぐウィーンで「マノン・レスコー」やりますね。「マノン」はやはり小澤指揮のハイライト盤がすごくよかったので、これも全曲聴きたい!観たい!演目のひとつです。
今年はあとはドン・ホセが多いですね。いずれにせよ、昨年よりは舞台が増えているようで、ひとまず安心できるでしょうか。

今年もよろしくお願いいたします。
なつ
2009/01/13 01:59

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