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help リーダーに追加 RSS マリオ・ジャコメッリ展

<<   作成日時 : 2008/04/23 23:31   >>

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L'ammiratorice dell'Italia e del Mestro Corelliの先輩である友人から誘われて、今日は有給休暇を取って東京都写真美術館に行ってきました。当初の目的は、「知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展」のみでしたが、両方見ると割引になるし、「シュルレアリスムと写真 痙攣する美」も併せて見ることになりました。

まずは、、「知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展」
マリオ・ジャコメッリは1925年イタリア、マルケ州のセニガリアに生まれ、終生その町でアマチュア写真家として活動を続け、2000年にこの世を去っています。地図でセニガリア Senigalliaを調べたら、州都アンコーナのすぐ北に位置するアドリア海に面した町でした。
私は、イタリアのいち地方都市の二十世紀の記録的な写真かな、と予想していたのですが、実際作品を見てまったく意外な作風でした。すべてジャコメッリ自身が自宅の暗室で製作したというその白黒写真は、いわゆる「リアリズム」一点張りではない。例えば、空中撮影も用いた、セニガリア周辺の風景写真シリーズ「自然について知っていること」 "Presa di coscienza sulla natura"は、まるで版画のようなざらついた質感で、田園風景はまるで地形図のような形状となっている。遺作「この想い出をきみに伝えん」 "Questo ricordo lo vorrei raccontare"では、人形や剥製といった小道具を配置した、ある種の心象風景でした。「この人にとって、写真は"手段"だったのね」というのが、友人と私の一致した感想でした。ジャコメッリの本業は印刷業だったそうで、そこで培った技術で、写真にアレンジを加えて、独特の二次元世界を創造していると言えるでしょう。白黒写真というものには、オブジェの質感というか実感を不思議と際立たせる効果があることをも、あらためて想起させられました。

須賀敦子の随筆で日本でも知られるところとなったミラノのコルシア書店のリーダー、ダヴィデ神父の詩の一節だという「私には自分の顔を愛撫する手がない」 "Io non ho mani che mi accarezzino il volto" は、雪の日、神学校の庭で輪になって踊ったり、雪合戦に興じる若い神学生たちを捉えたシリーズは、躍動的でありながら、同時に静的でもあるのが不思議です。輪になって踊る神学生たちは、マチスの「ダンス」を思い起こさせるフォルムだが、しかしマチスの絵にある南欧的な色彩や解放感は、そこにはない。僧衣の黒と雪の白が強烈なコントラストを生み(ジャコメッリは、地面の部分を白一色にするように夾雑物を塗りつぶしたと思しい。雪の下に石畳が透けて見える部分もあったが)、切り絵のようなぺたっと平面的な印象。しかし、個々の神学生たちの個性豊かな姿態の生命力は失われておらず…いやはや言葉で説明するのがなんとも難しい作風なのです。

画像


その他、ドキュメンタリー的要素の強い「ホスピス」「スカンノ」「ジプシー」といったシリーズもありますが、どれにもダヴィデ神父の他、レオパルディ、チェーザレ・パヴェーゼなどの詩の一節がタイトルとなっていることからも、ジャコメッリが写真というメディアを通した詩人であることは、確かです。
しかし、その「詩」を、今、この日記でどう伝えるかに、私は四苦八苦しているのです。。あまりにもジャコメッリの内省の詩なので、他人の(私ごときの)言葉を受け付けないのかもしれません。

もうひとつの「シュルレアリスムと写真 痙攣する美」展も面白かったですが、ジャコメッリで力を使い果たしたので、こちらはいつか気が向いたら書くことにしました。そもそも展覧会をハシゴするのって、疲れるものでしたー。友人とも話したのですが、一度切らせた集中力をあらためて高めるのは、なかなかに体力をも消耗するものであると。

両展示とも、5月6日まで、恵比寿の東京都写真美術館で開催されます。どちらも見ごたえあり、です。

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