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zoom RSS ミケランジェロvsユリウス二世の映画 「華麗なる激情」

<<   作成日時 : 2006/01/29 20:28   >>

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最近、旧作のDVD化により、近所のレンタル店に今まで見たことない映画が棚に並ぶようになり、なかなか有難いことです。そんな中から、今回チョイスしてきたのが、『華麗なる激情』 (1964年 キャロル・リード監督)。
アーヴィング・ストーンという作家の"The agony and the ecstacy"という小説を、『第三の男』などで知られるキャロル・リードが監督したハリウッド史劇(古代じゃなくても"史劇"に分類できますよね?)。システィナ礼拝堂天井画を題材にしたミケランジェロと教皇ユリウス二世の人間ドラマというので、興味を持ちました。

冒頭、サン・ピエトロ大寺院を中心にローマ市街が空中撮影で映し出されるのですが、これが素晴らしい。光るテヴェレ川、市内の建物群、そしてその周囲に広がる田園地帯。ローマはこんなに緑の田園に囲まれていたのだと初めて知りました。今も変わってないといいですね…。
さらに、物語の始まる前に、ミケランジェロの代表作品が時代を追って次々と映し出され、つまり観客にミケランジェロなる芸術家の紹介が行われます。ルネサンスの巨匠の事績をよく知らない人もいるかもしれない一般大衆へのサービスですね。予想がついていたことではありますが、英語の映画ですから、"マイケランジェロ"と発音されるのが、我々にはちょっと違和感ありといえばあり。

もうひとつ予想がついていたことは、ミケランジェロを演じるのがチャールトン・ヘストンなので、えっ?芸術家?ミケランジェロ?となるのは、まあ、仕方のないところでしょう。それでも、顔中絵の具だらになって熱演しているのを見ているうちに、段々説得力感じられてきましたから、さすが大スターです。ミケランジェロは大理石相手の彫刻家だから、この筋骨隆々の体格もありかな、と思えてきましたし。
ユリウス二世は、レックス・ハリソンが扮し、したがってハンサムでダンディな教皇になりました。教皇衣の下に甲冑をつけ、始終戦場をかけまわっていて、むしろ"君主"の風情。
後世に残る偉大な芸術作品を自らの名の下に製作させようと、教皇はあの手この手で、束縛を嫌うミケランジェロをシスティナ礼拝堂に縛り付けようと努めます。互いに一筋縄では行かないふたりの男の自我が激しくぶつかり合い、時には喧嘩や決別にまでなる展開は、真実こういうことがあって、あの人類史上の傑作が生まれたのだろうなあ、と思わせるに十分の説得力でした。給料の支払いをのらりくらりと延ばしながら、ミサの合間に、こそこそと制作の進行具合をうかがうユリウス二世、リアルでした。「支払い早くしろ」と催促するミケランジェロもリアル。
対立と葛藤の果てに、いつしか両者の間に友情が生まれ、戦乱の時代のさ中、「天地創造」は完成を見るのですが、「結局、我々は神の道具に過ぎない」というユリウス二世の台詞が秀逸。優れた芸術作品という形で、己の生きた証を後世に残す意志を貫徹した点において、ふたりの男は融和したのでしょう。

撮影は、おそらく多くのシーンで、本物のシスティナ礼拝堂を使ったのではないかと思われます。ミケランジェロが着手する前の、天井に星の装飾しか描かれていないシーンは、まだCGもない時代にどうやって撮影したのでしょうね。
とにかくスタッフの美術さん大活躍で、次第に「天地創造」が仕上がってゆく様が丹念にとらえられていました。後年の大修復の結果の鮮やかな色彩に比べると、くすんだ色合いになっていたのは仕方のないところ。
あわれブラマンテは、ミケランジェロの仕事を妨害するせこい悪役として登場。ラファエロも出てきますが、なんだか下品な若造で、イメージ違う。

最大の問題は、実在だか創作だか知りませんが、テッシーナなるメディチ家の姫君を登場させ、ミケランジェロとかつて恋仲だったなどという設定にしたこと。ハリウッド娯楽作として、ロマンス・シーンが欠けていてはということなのでしょうが、ご存知のように、ミケランジェロは同性愛者。その先入観もある所為か、ミケちゃんにこの女性がからむシーンがとってつけたみたいで退屈で、早送りしたくなりました。

大変な傑作という映画ではありませんが、イタリア・ルネサンスのふたつのアルテ−政治と芸術のふたりの偉人を面白く描いた映画として、見る価値はあると思います。


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<華麗なる激情>
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映画で元気
2011/01/19 18:57

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
とても興味深い作品ですね。
私も近所のつたやを探して見ます。
ユリウス2世やミケランジェロは、塩野氏の著作にもしばしば登場するので楽しみです。
Tiberius Felix
2006/01/30 00:10
不朽の名作というわけではありませんが、あの時代とあの二人の巨人を取り上げ、それなりに料理したと思います。
天井画制作のための足場の組み方が、ブラマンテとミケランジェロで違うなんてディテールもありましたし。
建設途上のローマの町は、どこかのイタリアの田舎町でロケしたものと思しかったです。
なつ
URL
2006/01/30 19:30
こんにちは、おじゃまします。私もこの作品、以前にテレビで観ました。大好きなルネサンス時代の話なので、面白かったんですが、女好きのミケランジェロというのには違和感を覚えました。チャールトン・ヘストンという人は、同性愛の役を忌み嫌っている傾向があるように思えます。「ベン・ハー」でもそれを臭わせるくだりの演技を拒否したという話を聞きかじった記憶が。
「華麗なる激情」の感想↓よろしければ御覧下さい^^;)。
http://www.geocities.jp/smokefree_alley/movie/ka.html#THE_AGONY_AND_THE_ECSTASY
ちなみに塩野七生の著書『ルネサンスとは何であったか』や『神の代理人』、私も好きです^^)。
ぶーすか
URL
2006/03/30 14:55
ぶーすかさん、感想読ませて頂いて、私と同じような感想でいらしたので、うれしいです♪
チャールストン・ヘストンの話、聞いたことあります。
『ベン・ハー』は実は隠れ同性愛の映画だったけど、ヘストンだけにはそのことを教えないでおいたとか…。
そんな人がなんでミケランジェロの役(笑)

私も塩野さんの本好きです。『神の代理人』hはスリリングな内容でしたね。
なつ
2006/03/30 22:31

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